学習塾 岡崎がわかる
吸収日射よりも緩やかで、極地方では赤道地方の約6割です。
吸収日射と射出地球放射との差は、赤道を中心とした緯度40度より低緯度地域で、正味として熱が溜まり、40度より高緯度地域で熱が失われるように分布しています。
もしも、高緯度と低緯度の間で熱のやりとりが起こらなければ、低緯度では熱が溜まるので役割を演じています。
海洋は大気に比べて運動が複雑であり、また、海面を除いて、海中の状況は人工衛星によって直接観測できないので、観測データが非常に乏しいのが現状です。
そのため、海洋の振る舞いに関係して温暖化の科学的予測の「不確かさ」が残されています。
温度が上昇し続け、高緯度では熱が失われるので温度が低下し続けます。
この熱の過剰や不足が大気にだけ影響すると仮定すると、1か月間に赤道で約20℃の割合で昇温が起こり、極地方で約25℃の低温化が続くことになります。
実際には、このような一方的な温度変化は起こっていません。
その理由は、低緯度から高緯度へ絶えず熱が運ばれ、各緯度で熱の取得と損失とが相殺して正味の熱収支が釣り合っているからです。
熱の南北輸送は大気や海洋の南北方向の運動にともなって起こっています。
北半球に住んでいる人は、子供たちでも、南風は暖かく北風は冷たいことを知っています。
温暖な南風は多くの熱を持っているので多量の熱を北へ運んでいます。
一方、寒冷な北風は熱が少ないため南へ運ぶ熱は少ないのです。
これらを総合すると、大気全体は熱を北へ運んでいることになりました。
海でも同様なことが起きています。
北半球では暖流が南から北へ多量の熱を運び、他の海域の寒流が少ない熱を北から南へ輸送しています。
そのために、海洋全体として熱を北へ運んでいるのです。
大気や海洋の運動が変化すると、それによる熱輸送の状況も変化しますから、当然、温度分布にも影響します。
数値シミュレーションでは、このような仕組みを取り入れて計算しています。
海洋の運動については、大気に比べて、観測データも少なくまた現象も複雑なので、海洋の振る舞いに関連した未解決の問題が多く残されています。
気温偏差に海洋の振る舞いに関する問題点をクローズアップするために、熱帯と極地方の海上気温について述べましょう。
1950年以降の船舶の観測データから求めた海上気温の5年移動平均を、北半球の赤道地方50度〜60度)について示したのが77です。
赤道付近で1970年以降に明白な温暖化が起こっているのに対して、北半球の亜寒帯では、温暖化ではなく、明らかな低温化となっています。
二酸化炭素の増加による温暖化の数値シミュレーションでは、高緯度地方の温暖化の方が熱帯よりも顕著だという結果が得られていることを、前に述べました。
実際には、数値シミュレーションとは逆に、北半球の熱帯で顕著な温暖化、高緯度地方で寒冷化しているのです。
このような理論と実状との相違は、どうして起こったのでしょうか。
その原因は、1960年代に起こった大西洋北部での「海洋異変」です。
今世紀後半の亜寒太平洋では1960年代から1970年にかけて明らかな寒冷化が起こりましたが、1970年以降は顕著な温暖化に転じました。
一方、大西洋では1960年代から連続して寒冷化となっています。
この相違は熱輸送の違いによって起こりました。
海洋は全体として、大気と同じように、熱帯から極地方へ多量の熱を運んでいることは、前に述べました。
太平洋と大西洋と別々に調べると、熱輸送の状況には明らかな差異が見られます。
太平洋では、赤道を中心にして南北両半球の高緯度側へ海流は熱を運んでいます。
他方、大西洋では、熱が南極付近から赤道を通って北半球の高緯度まで一様に北へ運ばれているのです。
放射収支の緯度分布から考えて、過剰の熱を吸収した熱帯から熱の不足している高緯度へ熱が運ばれていると考えるのが常識です。
大西洋では、この常識に反して、南半球の高緯度から赤道へ多量の熱が運ばれています。
この熱は、赤道を横切って北半球の高緯度にまで届いています。
このような大西洋における熱の北向き輸送は、「熱塩循環」にともなって起こっています。
「熱塩循環」は、「黒潮」など海洋表層に限られた海流とは異なって、深層海洋にも及ぶ全地球的な海流です。
中緯度の表層海洋には、北半球の太平洋の黒潮や大西洋の「湾流」のような大規模な時計周りの海流があります。
これら表層の海流は、主に大気の風に引っ張られて起こりますから、「風成循環」と呼ばれています。
黒潮や湾流の海域よりも高緯度側では、太平洋と大西洋の問に顕著な差異があります。
北緯45度から北緯60度の間では、太平洋の年平均海面水温が約6.7℃であるのに対して、大西洋では高温で約10.0℃です。
また、表面海水の塩分は、太平洋で約32.8%(%は1000分の1を表す)ですが、大西洋では高塩分で、34.9%です。
海面水温の高い大西洋では海面からの蒸発が盛んです。
蒸発量が降水によって供給される水分を上回っていますから、海水の塩分が多くなっているのです。
他方、太平洋では、降水が蒸発よりも多いので塩分は低くなっています。
北緯50度以北の大西洋で、特に塩分が高いのはグリーンランドの東方海上です。
塩分の高い海水の密度は大きいので、そこでは、表層と深層の問にはあまり密度に差がありません。
そのために、海の表面が冷やされる冬には、密度の一層大きくなった表層海水は、深層海水よりも重くなりますから、深い海中へ沈み込むのです。
このように、表層の海水が海中深く沈み込んでいるのは、全世界の海洋の中で大西洋の北東海域と南極付近の海域だけです。
多くの海域では、表面の海水が沈み込もうとしても、下層の海水の密度が大きいので、深層に達することができません。
グリーンランドの周辺海域では、表面水の高塩分が原因して、深層にまでで見られるように、大西洋の深層を南下して南極周辺に到達します。
そこで南極の影響によりできた低温の水と混じった「沈み込み」が起こっています。
後、再びインド洋と太平洋に別れて深層海洋を北上します。
この海水は、インド洋と太平洋の北部で表面に湧き上がった後、南下してインドネシアを通り抜けアフリカの南端を通って、大西洋に入ります。
大西洋の表層を北上する海流は、途中で起こる蒸発のために高塩分となり、グリーンランド周辺の海域で沈み込むのです。
このような流れは、温度と塩分の作用が結合して起こるものですから、「熱塩循環」と呼ばれています。
熱塩循環の存在は、すでに1950年代の後半に、塩分と水温との結合作用の研究から予言されていました。
米国のボストン近郊にあるウッズホール海洋研究所の海洋物理学ヘンリー.ストンメル教授が、理論と回転水槽実験による研究から熱塩循環が起こっているはずだと結論しました。
その後、ブイに係留した測器による流速測定や原爆実験で生じた三重水素の広がる状況の観測から、熱塩循環が実際に起こっていることが確かめられたのです。
います。
グリーンランド周辺の海域で、表層海水が海中深くに沈み込んでいますが、補充するように、大西洋の南の方からグリーンランドの方へ表層海水が北上しています。
この流れは、南北両半球を通じて多量の熱を北へ運んでいますので、「熱のコンベヤーベルト」と呼ばれていなっています。
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